【日本神話】 第3巻「出雲編」 第2章 因幡の白ウサギ
出雲大社 大国様と白うさぎ像
出雲の国にだいこくさま(大黒様)という神様がいらっしゃいました。その神様はおおぜいの兄弟が、その中でもいちばん心のやさしい神様でした。
「因幡(いなば)の白ウサギ」で有名な大黒様は、このオオクニヌシ(大国主)ノカミ(大国主神)のことをいいます。
ヤマタノオロチを退治して一躍ヒーローになったスサノオの孫の孫の孫、つまりスサノオから数えて6代目にオオクニヌシ(大国主)が誕生しました。
たくさんの兄弟の末っ子としてオオクニヌシ(大国主)は出雲に生まれ、出雲に育ちましたが、何かにつけてお兄さんたちからいじわるな仕打ちを受けていました。しかし、そんな兄たちのいじめにも負けず、オオクニヌシ(大国主)は心やさしき神として成長していきました。
ある日のこと、オオクニヌシ(大国主)の兄たちは、美しいことで評判のヤカミヒメ(『古事記』では八神上売・八上比売)という美しい姫が いるという噂を聞き、みんなでプロポーズしようと、出雲から因幡(いなば・今の鳥取県東部)の国に向けて出かけました。 オオクニヌシ(大国主)も兄たちの家来のように荷物持ちとして、大きな袋をかついで一番後ろからついて行きました。
兄弟たちが気多の岬(けたのみさき)という海岸を通りかかったときのことです。 全身の皮をむかれて真っ赤になった白ウサギが泣いているではありませんか。
おなじみの「大きな袋を肩にかけ、大黒様が来かかると、そこに因幡(いなば)の白ウサギ、皮をむかれて赤裸」という童謡の場面です。そして、その気多の岬(けたのみさき)が現在の鳥取県白兎海岸(はくととかいがん)だといわれています。
隠岐の島にいた白ウサギは、なんとかして向こう岸に渡りたいと思っていました。 しかし、船もありません。 そこでワニ(シュモクザメとされる)をだまして渡ることを思いついたのです。
海岸にいたワニに、自分の仲間とワニの仲間とどちらが多いか比べてみようと声をかけ、向こう岸までサメを並ばせました。 そして、ワニの数を数えるふりをして背中を渡って行ったのです。あと少しで岸に着くというときになって、白ウサギも油断したのでしょう。 ワニをだましたことをしゃべってしまいました。
さあ、大変!白ウサギは怒ったワニにつかまって、全身の皮をすっかりはがされてしまったのです。
白兎神社前 鳥取市白兎592
兄弟たちはそのうさぎに意地悪をして、海水を浴びて風にあたるとよいと嘘をつきました。
そのうさぎはだまされていることも知らずに、言われるまま海に飛び込み、風当たりのよい丘の上で風に吹かれていました。
そうしていると海水が乾いて傷がもっとひどくヒリヒリ痛みだしました。
前よりも苦しくなって泣いているうさぎのところに、後からついてきただいこくさまが通りかかりました。
それから、私が痛くて泣いていると先ほどここを通られた神様たちが、 私に海に浸かって風で乾かすとよいとおっしゃったのでそうしたら前よ りもっと痛くなったのです。
オオクニヌシ(大国主)(大黒様)はそのうさぎを見てどうして泣いているのかわけを聞きました。 そのうさぎは言いました。
わたしは隠岐の島に住んでいたのですが、一度この国に渡ってみたいと 思って泳がないでわたる方法を考えていました。するとそこにワニがきたので、わたしは彼らを利用しようと考えました。
わたしはワニに自分の仲間とどっちが多いかくらべっこしようと話をも ちかけました。
ワニたちは私の言うとおりに背中を並べはじめて、私は数を数えるふり をしながら、向こうの岸まで渡っていきました。
しかし、もう少しというところで私はうまくだませたことが嬉しくなっ て、つい、だましたことをいってしまいワニを怒らせてしまいました。そのしかえしに私はワニに皮を剥かれてしまったのです。
大黒様はそれを聞いてそのうさぎに言いました。 かわいそうに、すぐに真水で体を洗い、それから蒲(かま)の花を摘ん できて、その上に寝転ぶといいと教えてやりました。
そういわれたうさぎは今度は川に浸かり、集めた蒲の花のうえに、静かに寝転びました。 そうするとうさぎのからだから毛が生えはじめ、すっかり元のしろうさぎに戻りました。
そのあと、ずい分遅れて大黒様は因幡の国につかれましたが、八上比売(やかみひめ)が求められたのは、大黒様でした。
大黒様に言われた通りにした白ウサギは、やがて元に戻り、親切なオオクニヌシ(大国主)に心から感謝しました。
童謡・大黒様の歌の中の「大黒様の言う通り、きれいな水に身を洗い、ガマの穂わたにくるまれば、ウサギは元の白ウサギ」。
白兎神社 鳥取市白兎592
このあと、大国命は出雲にやってきた八上比売(やかみひめ)と結ばれたのでした。
有名な童謡のシーンです。
2009/09/06
引用:出雲大社公式ページ「神々の国 出雲」
社団法人島根県観光連盟・島根県観光振興課
因幡の白うさぎの意味は?
ヤマタノオロチを退治して一躍ヒーローになったスサノオノミコトの孫の孫、つまりスサノオノミコトから数えて6代目にオオクニヌシ(大国主)ノカミが誕生しました。
たくさんの兄弟の末っ子としてオオクニヌシ(大国主)は出雲に生まれ、出雲に育ちましたが、何かにつけてお兄さんたちからいじわるな仕打ちを受けていました。 しかし、そんな兄たちのいじめにも負けず、オオクニヌシ(大国主)は心やさしき神として成長していきました。-隠岐の島にいた白ウサギは、なんとかして向こう岸に渡りたいと思って、海岸にいたサメに、自分の仲間とサメの仲間とどちらが多いか比べてみようと声をかけ、向こう岸までサメを並ばせました。そして、サメの数を数えるふりをして背中を渡って行ったのです。あと少しで岸に着くというときになって、白ウサギも油断したのでしょう。 サメをだましたことをしゃべってしまいサメにつかまって、全身の皮をすっかりはがされてしまいます。
これは、隠岐の島を治めていた白兎に例えられる豪族が、因幡を攻めようとして失敗し、オオクニヌシ(大国主)が助けて隠岐の島を穏やかに平定したのち、プロポーズした兄たちには見向きもせず、オオクニヌシ(大国主)ノカミを夫に選んだ因幡の八上比売(やかみひめ)はウサギが予言したとおりオオクニヌシ(大国主)はヤガミヒメを得ます。これは隠岐の豪族が穏やかに因幡にオオクニヌシ(大国主)と協力せよと伝え、隠岐・因幡を平定したということではないでしょうか。
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